📝ライター 代表取締役 志賀遥菜
数値やデータだけでは、人の心は動きません。
けれど、自分のからだのことを“知る”という行為には、たしかに人生を動かす力があります。
私たちは、検査キットを売っているのではなく、”エビデンスを通じて得られる、自分の不確実な未来に対する納得と確信”を届けています。
その想いを、より丁寧に、私たち自身の言葉でお伝えしていきたい。
― それが、Inside EggUをはじめた理由です。

1. はじめに:Inside EggUをはじめる理由
EggUを立ち上げて以来、私は多くの方に「これはどんな検査なのですか」と尋ねられてきました。
もちろん、ホルモン濃度を測定してからだに残された卵子の量を推定する、という説明はできます。
けれど、EggUは単なる“検査キット”ではありません。
私たちが本当に届けたいのは、不確実な要素の多い自分の未来に対して、「自分の未来への決断を納得して決められた」という確信です。
その確信は、誰かに与えられるものではなく、自分の中で見つけていくもの。
EggUは、その“きっかけ”を届けるために生まれました。
Inside EggUは、その想いを、開発の裏側やメンバーの言葉を通して発信していく場です。
私たち自身が何を信じ、何を大切にしているのか。
数字やニュース、プレスリリースだけでは伝えきれない、EggUの「心の部分」をここで届けていきたいと思います。
2. EggUが届けたいのは、“数字”ではなく“確信”
卵巣予備能を示すAMHという指標は、血中ホルモン濃度を示すと言う意味では非常にシンプルです。
けれど、その数字を手にした瞬間、感じることは人それぞれ。
安心する人もいれば、不安になる人もいます。
EggUが目指しているのは、その結果を「どう受け止め、どう生きていくか」に伴走することです。
たとえば、いまの状態を知ることで、将来の選択を考えやすくなる。
頭の片隅にあった選択肢について、調べてみたり先輩に話を聞いてみたりするといった行動に移すことができる。
パートナーとの話し合いを始めるきっかけになる。
上司にキャリアの挑戦とライフイベントに関する不安を相談してみる材料になる。
あるいは、まだ決めないという“保留”を、自信をもって選べるようになる。
AMHは単なる数値ではなく、人生の舵を自分で取るための材料です。
それをどう使うかは、すべてその人自身の手の中にあります。
EggUは、その一歩を安心して踏み出せるよう、科学と心の両面から伴走していきたいと考えています。

3. “確信”は、誰かに与えられるものではない
私はこれまで、仕事も頑張りたいと思っている女性が、キャリアやライフプランを考えるときに、
「本当はどうしたいのか」が見えにくくなる瞬間をたくさん見てきました。
職場の期待、周囲の空気、世の中の“常識”――そうした外からの声に押されて、
自分の意思を置き去りにしてしまう人が少なくありません。
でも、本当の確信は他人からもらうものではありません。
科学的な知識や社会の仕組みを理解したうえで、
「自分はいまこういう状態だから、私はこうしたい」と言える状態こそが、EggUが目指す、”エビデンスを通じて得られる、自分の不確実な未来に対する納得と確信”です。
そのために必要なのは、まず自分のからだを「知る」ことです。
自分のからだの状態を知ることは、もしかしたらちょっとだけ「怖い」ことかもしれません。
でも私たちは、自分のからだを理解することは、より確度の高い選択肢を持つことができ、人生の優先順位を決めるための第一歩として、とても大切なことだと考えています。
4. 科学と感情、そのあいだをつなぐ挑戦
EggUは、科学に誠実であると同時に、人の気持ちに寄り添うブランドでありたいと考えています。
サイエンスの世界は、どうしても「正しいか、間違っているか」で語られがちです。
ですが、私たちはその間にある“揺らぎ”を大切にしています。
チームには、医療や研究、デザイン、キャリア支援など、さまざまな専門家がいます。
それぞれが異なる視点を持ちながらも、共通して大切にしているのは「人を中心に考える」という姿勢です。
科学を、未来の選択や日々のライフスタイルに合わせて伝える。そのために必要なことを、これからも探求し続けていきます。
5. Inside EggUが描くこれから
Inside EggUは、EggUの中で働く人たちが、自らの言葉で語る場所です。
研究者が、医療者が、開発者が、デザイナーが、コーポレートメンバーが、そしてユーザーの皆さんが、
それぞれの立場から「サイエンス」「医療」「自分の未来」「EggUが創る未来」などについて語っていく。
ここで生まれるストーリーの一つひとつが、誰かの「確信」につながることを願っています。
社会の中で、女性が自分の選択に誇りと自信を持てるように。
キャリアも、ライフも、からだの時間も、誰かの価値観に合わせるのではなく、
納得して自分で決めていける時代をつくるために。
EggUは、検査キットを売る会社ではありません。
私たちは、“バイオキャリア”という新しい生き方をつくる挑戦をしています。
科学をもっとやさしく、
キャリアをもっとしなやかに、
そして“知ること”を、もっと前向きな選択に。
それが、私がInside EggUをはじめようと思った理由です。
📝ライター 代表取締役 志賀 遥菜
東京大学で医療生命科学の研究に従事後、研究成果が社会に届かない現状に課題を感じビジネスの道へ。新卒でP&Gに入社し、バイヤーとして幅広い事業に携わるとともに、ジェンダー平等推進プロジェクトをリード。女性のライフステージ変化に伴うキャリアアップの実現に課題を感じ、2021年に株式会社BeLiebeを設立し、研究の社会実装を通じて女性が生物学的観点からライフキャリア計画ができるサービス開発に取り組む。